暦年贈与

生前の節税対策で一番有名なのは生前贈与(暦年贈与)です。

年間110万円までは非課税で贈与することが可能なので、相続財産の圧縮ができます。

例えば、年間4人に110万円ずつ贈与した場合、4人×110万円=440万円、さらに5年行えば、440万円×5年=2,200万円もの相続財産の圧縮が可能です。

生前贈与を行う際には下記に注意しましょう。

(1) 贈与契約書を作成すること

 

贈与は、あげた人もらった人の意思が重要です。

それを証明するために、贈与契約書を作っておくことをおすすめします。インターネットなどで検索すると、贈与契約書のひな型がたくさんありますので、それを参考にすれば十分です。

 

ただし、毎年決まった額を同じ日に行うと、まとまった額の一括の贈与を分割しただけである(一括贈与)とみなされる場合があるため注意が必要です。

 

また、税務署へのアピールのために、敢えて111万円贈与し、贈与税申告、贈与税(この場合は1,000円)の納付をする人もいます。

 

(2) 7年以内の贈与は相続税の財産に加算される(※令和6年改正後)

 

相続が発生する直前7年以内の贈与は、相続税の計算をする際の財産に加算されます。

 

なお、贈与税を払っていた場合は、その贈与税額が相続税額から控除されますので、二重課税にはならないようになっています。

 

ただし、これに当てはまるのは、「相続または遺贈により財産を取得した者」が、その相続の直前7年以内に被相続人から贈与を受けていた場合です。

 

つまり、相続人であっても財産を相続していなければ対象となりませんし、孫であったとしても生命保険の受取人になっていた場合は該当しますので、注意が必要です。

非課税枠の範囲が税金上一番有利とは限らない

年間の非課税の枠は110万円なので、その範囲内で行えば、贈与税がかからず申告も不要です。

贈与税と相続税は税率が異なるため、財産の規模によっては、非課税枠の限度を超えて贈与した方が税金上有利な場合があります。

非課税枠を超えているので贈与税は発生しますが、その分相続税の対象となる財産が少なくなり、それに伴って相続税も少なくなります。

結果として、贈与税と相続税のトータルでは有利となるということです。もちろんその逆もあるため、専門家へアドバイスを聞くことが大切です。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、60歳以上の(直系尊属)父母や祖父母から、20歳以上の子または孫に対して贈与を行った場合、年110万円を控除した後の贈与額の合計で2,500万円までは非課税とするものです。

2,500万円という大きな額を一括で贈与できるというのはとても魅力的です。しかし、実際には色々な制約がありますので、きちんと理解した上で利用しましょう。

(1) 2,500万円を超えた分については一律20%の贈与税が発生する

 

非課税となるのはあくまで2,500万円までです。それを超えると20%の贈与税が発生します。

 

(2) 相続が発生すると相続財産へ持ち戻される

 

贈与時には税金は発生しませんが、相続が発生した時点で相続財産に持ち戻されて

相続税計算を行うことになります。

どのような人にメリットがあるのか

相続時精算課税は、そもそも相続税が発生しない相続の場合は、「渡したい人へ元気なうちに渡せる」というメリットがあります。

令和6年改正後は、相続時精算課税制度についても、110万円以内の贈与であれば、持ち戻しの対象とはならず、申告も不要ということになりました。

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

贈与の日において婚姻期間が20年以上ある配偶者から、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与を受けた場合、贈与税の課税価格から2,000万円が控除されます。婚姻期間20年以上が要件となっているため、おしどり贈与などと言われたりもします。

要件は以下の通りです

  1. 婚姻期間が20年以上(同一配偶者間においては一生に一回限り)であること
  2. 住むための不動産の贈与であること。贈与後も引き続き住み続けること。

住宅取得等資金の贈与の非課税枠

子や孫が住宅を購入する際の資金援助であれば最大1,200万円の贈与が非課税になる制度です。相続時精算課税制度と併用可能なので、最大で2,500万円(相続時精算課税)+1,200万円(住宅取得等資金の贈与の非課税)=3,700万円の贈与が非課税になります。

要件は以下の通りです。

  1. 贈与を受ける対象者が、贈与年の1月1日において、20歳以上であること
  2. 上記1の居住用の取得資金であること
  3. 親や祖父母からの贈与であること

注意点:この制度は新規で住宅を購入するための制度なので、過去に購入した住宅のローンの支払いには充てられません。
非課税限度額は、家屋の種類や契約日に応じた金額になります。

表1 下記2以外の場合

家屋の新築等の契約締結日

省エネ等住宅

左記以外の住宅

~2015年12月31日1,500万円1,000万円
2016年1月1日~2020年3月31日1,200万円700万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,000万円500万円
2021年4月1日~2021年12月31日800万円300万円

表2 住宅用の家屋等の消費税が10%の場合

家屋の新築等の 契約締結日

省エネ等住宅

左記以外の住宅

2019年4月1日~2020年3月31日3,000万円2,500万円
2020年4月1日~2021年3月31日1,500万円1,000万円
2021年4月1日~2021年12月31日1,200万円700万円

※省エネ等住宅とは省エネ、耐震、バリアフリーの観点から優れている住宅を指します

このように生前にできる対策は様々ありますが、どれも要件が複雑です。

 

また、状況によっては、意味がないばかりか逆効果になり、かえって多くの税金を支払うことになる可能性もあります。

 

実行するときには必ず専門家へアドバイスを受けましょう。

 

 

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