遺言がなく相続が発生した場合、相続人同士で被相続人の財産をどのように分けるかを決める遺産分割協議を行います。
遺産分割協議がまとまれば何の問題もありませんが、生前に遺言書を書いておき、どのように遺産を分配するかを決めることによって次のメリットがあります。
遺言書を書いておくメリット
遺言書には自筆証書遺言と公正証書遺言の二つがあります。
それぞれについての書き方や流れを説明しますが、不備があると無効となり後々のトラブルの原因にもなりますので、作成の際には必ず専門家を通すことをおすすめします。
注意点 相続が発生し、中身を確認する際には開封前に家庭裁判所での検認が必要になります。 |
ただし、実務上は遺言者と公証人が事前に打ち合わせをした段階で公証人が原案を作成し、当日はその確認を行うだけにすることで時間の短縮を図ることが多いです。
注意点 以下の人は証人にはなれません
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自筆証書遺言は費用が発生しませんが、内容が無効になるリスクが高く、公正証書遺言は費用が発生しますが、プロを通すので内容が無効になるリスクはほぼありません。
せっかく遺言書を作成しても、それが無効になってしまうと、渡したい人へ自分の財産を渡せません。遺言を作成する場合は、種類を問わず専門家のアドバイスを聞くことをおすすめします。
遺言を残しておくことで、自分の財産を渡したい人へ継承することができますが、特定の相続人に関しては一定の割合が留保されます。それを遺留分と言います。
具体的には、被相続人に愛人がいて、相続人に配偶者や子供がいる場合(愛人は相続人にはなりません)、遺言書で全て愛人に取得させる旨の記載をされてしまうと、法定相続人は一切の相続ができません。
このような場合に、相続人の最低限の権利を守るのが遺留分です。
遺留分で認められる割合
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つまり、配偶者や子供は常に法定相続分の半分は最低限守られるということになります。
遺留分は法律で守られていますが、遺言も尊重されます。
そのため、例えば、遺言書の内容が遺留分を侵害している内容だったとしても、その遺言が無効になるわけではありません。遺留分を侵害された側が、相手方へきちんと取戻しの請求をしないといけません。これを遺留分減殺請求といいます。
遺留分減殺請求権は、相続の開始と遺留分侵害の事実を知った日から1年を経過したとき、相続の開始の時から10年を経過したときに、時効により消滅します。それまでに、請求しないといけません。
遺留分を侵害していたとしても、遺言自体が無効になるわけではないですが、遺留分減殺請求をされる可能性は高まります。
何も対応策を講じないまま相続が発生してしまうと対応できないことでも、プロからアドバイスを受けることで生前に解決策が見出せるかもしれません。
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